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第八十九回「愛するウェハンメに送る言葉」

외할머님께,

손자들을 대표하여 삼가 추모 인사를 드립니다.

ウェハンメ。
私にとって、ハンメというと、まず思い出されるのは、ウェハンメと一緒に市場に行くまでの光景です。
ウェハンメの漕ぐ自転車の後ろに乗り、青空の中、土手を走り坂を上り、次に大きな川を横目に橋をわたりながら、「ここで人が流されてきたこともあったんよ。川は怖いからフニも気をつけないけんよ」と教えられたことが昨日のことのようです。だから今も川は怖いんだという意識が強いのでしょう。

市場に着くと肉やら、野菜やら、魚やら熱心に見定めているウェハンメ。一通り買い物が終わると、いつも「お菓子買っておいで」と言ってくれました。待ってましたとばかりに、当時の私はよく「ネルネルネルネ」というお菓子を買い、淀の家ではんめに教えてもらいながら、四苦八苦して作ったものです。

ウェハンメと言えば、やはり抜群の料理の腕でしょう。「ごはん食べていき」といつも言ってくれるハンメ。自分でつけたキムチに、お手製のナムル、すじ大根、甘辛く似た手羽、しれぎぐっ、鯉のさしみに、自家製たれに漬け込んだ焼肉にさんちゅ、ごはんにさむじゃん…、そのごちそうを数えたらきりがありませんが、ウェハンメの손맛が施された料理を、皆で集まってほおばる瞬間は最高でした。今でもその구수한香りは、鮮明です。

やけどするとすぐにアロエを塗ってくれ、歯が抜けそうな時は「こっちおいで」と言って、歯に糸を巻き付けあれよあれよという間に抜いてしまい、めばちこが出来た時は髪の毛で涙腺を掃除し、몸살 나した時は따をして治してくれたウェハンメ。そのたくましい生活の知恵で本当にけがや病気が治った時、「ほんまに治った」と目を丸くしたことが懐かしいです。

掃除、洗濯もうまかったハンメ、布団はいつもふかふか、シーツはパリッパリッでしたね。寝ていてとても気持ちがよかったです。お風呂が好きで、銭湯もよく連れて行ってもらいました。あとから家にできたお風呂も、もちろんいつもぴっかぴかでした。

たまに行くイモたちとのお出かけの日には、いつものちゃんちゃんこ姿から、きれいな服装に変わります。とくに、ピンクスーツはばっちり決まってましたよ。幼いながらに女性はこうも変わるのかと感心してしまうほど、とってもきれいでした。

あの頃はまだコーヒーとたばこが好きで、よく飲んでましたね。青山でしたか、モーニングにもよく連れてってくれました。
でもあとからたばこをやめたハンメに良くやめれたね、と聞くと「ハンメはやめる時はやめる」といったその言葉と目が今も忘れられません。一度始めたらやり抜くその意志の強さが誇らしかったです。

あの頃はまだウェハルベも元気で、うぇはるべ流のやさしさであるチャンソリに、またチャンソリで対抗するウェハンメ、その鋭く掛け合う光景が今ではすごく懐かしくもあります。色々あっても、結局最後まで目が見えなくなったウェハルベの横にいたのはウェハンメでした。

朝鮮で生まれ、3歳の時に日本に来たウェハンメは、戦争の話もよく聞かせてくれましたね。「小さい時に近くの山で友達と遊んでいる時、爆弾が落ちていくの見たんよ。きれいでな、ほんと花火みたいやったよ。防空壕にも何度も入ったよ」

戦火を潜り抜け、今とは比べ物にならない差別と蔑視の中で、ウェハルベを支えながら、5人の子供を産み育て上げたウェハンメ。毎日畑に出て野菜を育て、お金が必要となれば、何でも仕事を一生懸命して稼ぎ、「負けてたまるか」と一人でもしっかりと生きるウェハンメのその強さには、頭が下がるばかりです。

こどもが好きで、子供をよくあやしてくれたハンメ。あやしながら、子供をアクロバティックに自分の片手に立たせるのが、得意だったのですが、ひ孫たちにもそれを試みた時は、少し焦りました。ウェハンメにかかるとみんな泣かずにそれなりにうまく立つ様子を見て、やはりハンメは5人の子供を育て上げ、10人の孫の子育てを支えた、子育ての達人なのだと感心したのを今も覚えてます。

ウェハンメと言えば、美空ひばりが好きな印象が私にはありますが、故郷の家でよく歌い、意識がほとんどなくなっても、最後まで反応していた歌は、アリランでした。その民族の魂は孫だけでなく、ひ孫たちにも受け継がれています。安心してください。

その天真爛漫な笑顔で、場をよく和ませてくれたハンメ。
自分だけを考えず、人を思いやることを知っているハンメ。
自分が犠牲となっても、子供を守ろうとしたハンメ。
家族に捧げたその人生とその底抜けの愛に、感謝しかありません。
もう体痛いところもなく、悩みもなく、やすらかに休んでください。
ハンメ、また来世、会おうね。

정말 고맙습니다. 合掌

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