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第九十二回「曹源一滴水:ハルモニに送る言葉」

 사랑하고 존경하는 할머님께 삼가 말씀 올립니다.

 まだ幼い時のハルモニとの思い出は、「桃太郎」の話です。
 深江のアパートでお泊りをした時、子守唄を歌ってくれる前に、いつも桃太郎のお話をしてくれましたね。
 「昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいました…」から始まるその優しい語り口が、今も聞こえてきそうです。

 高校を卒業し、お寺での修行を始めた時、ハルモニは私にたくさんのことを教えてくれましたね。朝のお勤めの時には、本堂でどう歩を進めるか、お茶をどう美味しくいれるか、ご本尊様の真ん中の線上には立ってはダメよ、などなどの基本を教えてくれました。
 また何よりも覚えなければならないお経を、きれいで見やすい手書きで用意してくれたこと。朝のお勤めのお経や、千手経、般若心経、法性偈(ほっしょうげ)などのお経、手書きするのは大変だったと思います。そのおかげでお経の心をきちんと学び、今に至ることができています。

 きれいな黄緑の作務衣に身を包み、いつでも頭をばっちりときれいに決めたハルモニ。そのハルモニが本堂で一緒にお経を上げている様子が今でも目に浮かびます。
 今となってはそのありがたさが身に沁みますが、若かったあの頃はきちんとハルモニに感謝できていたでしょうか。

 

 またハルモニは書道の先生だったので、達筆で多くの素晴らしい書が残っています。
 昔はお位牌も、花祭りの提灯もハルモニが手で書いていましたね。
 どこに持って行っても、多くの人がハルモニの字を見て、素晴らしいとほめていたので誇らしかったことを、今でも鮮明に覚えています。
 私にも多くの色紙を書いてくれました。
 その中でも思い出深いのは、黒田官兵衛の「如水」〜水の如く、です。2014年、ハルモニが84歳の時に書かれました。水の心を忘れないよう、今も大切に飾っています。

 そして、式場にかけられている「曹源一滴水(そうげんのいってきすい)」

 ハルモニの代表作です。非常に力強い筆使いですが、その説明書きにはこうあります。

「一滴の水が山から流れると、そこに小川を作り大河となってやがて天下を潤す。…一滴の水を大切に。一滴だからと粗末にせず、一滴だからといじけることなく、その一滴水は大海の源泉になるかもしれないのです。森の樹木を救うかもしれないのです。…人間一人にはとてつもない可能性がある」。

 ハルモニは非常に優しく柔らかい、いつも上品な人でしたが、それだけではなく、その内にはいつも燃えるもの、すなわち大志が感じられました。そのハルモニと若い時分を一緒に過ごし、仏の心をつなぐという大事だけでなく、知らず知らずのうち、その熱いものを感じることができたこと、非常に感謝しています。

 また、晩年二人でいる時や家族で食事をしている時、いつも強調していた言葉がありました。

 「教育が子どもに残せる最高の財産なのよ」、この年になってその伝えたかった意味がよくわかります。一滴の水が大河となるということは、教育をもって人をつないでいくことなのでしょう。

 

 ハルモニ、みんな元気です。
 ハルモニが植えた種は、今大きな花木となりました。これより春夏秋冬、色々なことがあると思いますが、ハルモニの教えを胸に、皆が団結ししっかりとバトンを繋いでいきます。 
 毎年しっかりとした花を咲かせていきますので、見守っていてください。

 最後にもう一つだけ。思い返せば、三途の川でハラボジに追い返されたというお話もハルモニからよく聞きました。しかし、今回は伝説のパッチギで、やくざもボコボコにして追い返していたハラボジに守られながら安心して川を渡ったのだろうと思います。極楽で二人仲良く過ごしてくださいね。

 95年、おおよそ1世紀。戦前・戦中・戦後と激動の人生をしっかりと生き抜いたハルモニ。最後まで皆を気遣って亡くなられたようにも思えます。

 ハルモニ、本当にありがとう。
 이제 몸 아픔도 불편도 고민도 없이 극락왕생하십시오.

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