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第八十八回「お金があれば、幸せになれるか」

「お金があれば、幸せになれるか」

 

 仏教は「苦」から始まる。

 お釈迦様は、これを四苦八苦とした。

生老病死、つまり人間であれば、生まれることは選択できず、生まれてすぐは若くとも老い、気を付けていても病にかかり、人である限り必ず死ぬ。

そして、愛別離苦(人生では必ず愛する人との別れが来る)、怨憎会苦(相性の合わない人との出会いがある)、求不得苦(終わりのない欲に苛まれる)、五蘊盛苦(そもそも心と体が苦を認識してしまう仕組みになっている)、が必ず人生で生ずる。

 この上で仏教は、このような人生の不可避的な苦しみを越え、いかに幸せに生きるか、を追求し、その答えを示した。

 

 お金さえあれば幸せになれる、という考え方がある。とりわけ若い世代(こう言ってる時点で、小生ももう若くないのだろう)にこうした考え方が見られる傾向にあるが、はたしてそうだろうか。

 フォーブスの世界の富豪ランキング2021を見ると、一位はAmazonのジェフ・ベゾス。総資産額は、約1770億ドル、1ドル=110円換算で、約19兆4700億円となる。

 二位は、テスラ、スペースXのイーロン・マスク。総資産額は、約1510億ドル(=16兆6100億円)に上る。三位にモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)のベルナール・アルノーで約1500億ドル、四位にマイクロソフトのビル・ゲイツ、約1240億ドル(13兆6400億円)と続く。

 兆単位の資産を保有する彼らは、一生で使い切れないほどの「お金」を持っている。お金さえあれば人生の苦を克服し、幸せになれるのであれば、彼らほど幸せな人々もいないであろう。しかし、現実は彼らとて、私たちと同じく「苦」からは逃げられないようだ。

 

 ジェフ・ベゾスは25年連れ添った奥さんと離婚し、ビル・ゲイツも27年間の結婚生活に今年終止符を打った。人間関係での苦しみは、お金があってもなくても生きてる限りつきまとう。ビジネス拡大を続け、今や仮想通貨にベットしているイーロン・マスクはツイッターで叩かれ続け、家族経営のベルナール・アルノーも他の三人と同じく、大金持ちで守るものがあるがゆえの苦しみに苛まれていることだろう。

 何よりも、兆というお金を持つ彼らも、いつか老いて、病にかかり、必ず死ぬ。

 お金があれば、四苦八苦の半分は解決できるかな、と思ったが、半分もいくかどうか。

 

 幸せとは、主観的なもの。お金が無さ過ぎてもだめだが、一億円稼げば、必ず幸せになれるという物理的な基準もない。

 おいしいコーヒーを飲みながら、友達とあーでもないこーでもないと話す。

 家族で、一家団欒の食卓を囲む。

 仲間たちと、仕事で何かを成し遂げる。

 そうした瞬間に、心が温まると人は幸せを感じる。お金がそうなくとも、だ。

 そして、苦も人が持ってくるが、幸せも人が持ってくるところに、人生の妙がある。

 

 仏教では、仏教を信じれば苦しみはなくなるとは言わない。

 人生から苦しみはなくならないと説きながら、苦とともにうまく生きる術を示す。

 色々な秘訣があるが、この法話では、一つだけ示そう。

 

 「日常を大切に」

 

 受験を題材にしたドラマ(ドラゴン桜)を見ていると、このようなことを言っていた。

 受験の年だからといって、日常を変える必要はない。何時に起きて、何時にご飯を食べて、何時に勉強して、何時に風呂に入って、寝るか。毎年旅行に行っているのであれば、日数を短くしてでもいけばいい。その日常のルーティンを決め、日々しっかりとこなすことだ。受験だからといって、日常を大幅に変えると、その変化がかえって受験生のプレッシャーとなる。

 

 仏教でいえば、「日日是好日」。

 苦が尽きない人生に、時に幸せがあり、時に苦しみがあるが、日常を崩さず、日々をしっかりと生きる。

 そうすれば、最後には必ずゴールがあり、そうしてゴールテープを切れば自分なりの幸せを感じながら最期を飾れる。

 こう信じて、是非日常を大切にされることを。 合掌

 

 

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