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第五十五回「心を凍らしてはいけない」~二つの猟奇的な事件と一つの心温まる事件を観て

 人間は強い生き物である。と同時に弱い生き物である。
 時に屈強であり、時にしごくもろい。これを分けるものは何であろうか?
 私が考えるにこれを最終的に分けるのは…心だ。

 
 
 最近、愕然とする事件が相次いだ。

①殺人指名手配の男、8人刺し1人死亡…土浦のJR駅前

23日午前11時ごろ、茨城県土浦市荒川沖東のJR常磐線荒川沖駅構内と駅前で、4日前に市内で起きた殺人事件で指名手配となった男が刃物を振り回しながら、通行人ら8人を次々と切りつけた。8人は病院に運ばれたが、1人が死亡、2人が重傷、5人が軽傷を負った。男は間もなく、県警土浦署員に取り押さえられ、手配の容疑で逮捕された。県警は無差別殺傷事件とみて動機を追及する。殺人容疑で行方を追われていた男が再び殺人事件を起こす異例の事態となり、県警は捜査を検証する。逮捕されたのは、同市中村東、無職金川真大かながわまさひろ容疑者(24)。金川容疑者は逮捕時、文化包丁とサバイバルナイフ(いずれも刃渡り約20センチ)を持っており、通行人らの殺傷を認めている。本人の携帯電話から22日午後、「早く捕まえてごらん」という内容と無言の計2回、110番通報があった。県警は発信地の同駅周辺も警戒対象にし、私服の警察官が8人いた。死亡したのは同県阿見町うずら野、会社員山上高広さん(27)で、首を刺されていた。同県つくば市、高校3年飯田修平さん(18)と、土浦市、会社員石山恵美子さん(62)が首や肩などを刺され重傷を負った。けが人の1人は私服で警戒中の同署地域課の男性巡査(29)で、頭を切られていた。県警によると、金川容疑者は駅改札口付近の2階連絡通路で男女5人に切りつけたあと、通路を移動し、途中で2人を刺した。さらに1階におり、「荒川沖ショッピングセンター」前で、山上さんを切りつけた。約15分後、金川容疑者は駅西側約200メートルにある交番まで行き、土浦署につながるインターホンで「私が犯人です」と告げ、同署員が駆け付けた。交番は不在だった。今月19日の事件では、同市中村南、無職三浦芳一さん(72)が自宅玄関先で首を刺されているのが見つかった。現場にあったマウンテンバイクなどから金川容疑者が浮上。土浦署捜査本部は21日に殺人容疑で指名手配した。金川容疑者は三浦さんとは面識がなく、殺害について「誰でもよかった。人を殺したかった」と容疑を認めているという。金川容疑者は三浦さん事件後、都内の理髪店で丸刈りに髪形を変え、土浦市内に戻ったとみられる。包丁は土浦市内で購入し、ナイフは携帯サイトを通じて買ったという。金川容疑者は携帯電話を2台持っており、1台は家に置き、もう1台で110番通報をしていた。(2008年3月23日22時07分 読売新聞)

岡山突き落とし:18歳の殺人 深夜帰宅の県職員に悲劇

 25日深夜、JR岡山駅で起きた突き落とし殺人事件。今春、高校を卒業したばかりで、自力で大学進学を目指していたという容疑者は「おとなしくまじめな」18歳の少年だった。茨城県土浦市の8人殺傷事件などに続く、青少年の自暴自棄ともいえる凶行。一家の大黒柱として働き盛りだった男性の遺族や職場に怒りと悲しみが広がった。帰宅客が行き交う駅のホームは、突然の惨劇に一時騒然となった。25日深夜、JR岡山駅で男性が少年に線路に突き落とされ、電車にはねられ死亡した殺人事件。亡くなった岡山県道路建設課主任、假谷国明さん(38)の自宅では26日、悲報を知った父親が「はらわたが煮えくり返る思いだ」と声を震わせた。假谷さんが在職していた道路建設課によると、假谷さんは06年4月から同課に勤務し、主にバイパス道の建設や道路の拡幅工事など県道の改良事業に取り組んでいた。今春、水島港湾事務所への異動が決まっており、25日も引き継ぎ書類の作成や残務整理に追われていた。午後10時ごろ「お疲れ様です」と同僚にあいさつし、退庁したという。同課には26日午前0時過ぎに「岡山駅で事故に巻き込まれた」との一報が入り、職員3人が病院に駆けつけた。西本靖・同課改良班長は「病院でも状況が分からなかった。今はショックのほうが大きい」と話した。假谷さんら異動対象者を送り出そうと26日に送別会を行う予定だった。同僚の1人は「熱心で前向きな性格だった。まさか、という思いだ」と唇をかみしめた。假谷さんの机には前日まで使っていたという、パソコンが1台だけ残っていた。倉敷の假谷さん宅では、父親の要さん(70)が「本当ならたたき殺してやりたいくらいに、はらわたが煮えくり返っている」と語った後、「しかし、日本は法治国家なので罪を償い、早く更生して世の中に役立つようになってほしい」と唇をかみしめていた。
毎日新聞 2008年3月26日 12時37分(最終更新 3月26日 13時44分)



 この二つの事件に共通するものは何かと私なりに考えてみると、それは…

 「心が凍っている」という事であった。

 心が凍っている、とは即ち、感謝を見失っているという事である。これを仏教ではまた盲目と表現する。

 心が凍れば…自分しか見えない。なぜ自分だけが苦しむのだとばかり考える。

 そして、目の前の見える現象だけに囚われる。今、自分だけがよければそれでいいと考えるようになる。ここに自分を支えてくれている「他」に対しての思いやりはない。

 ただ見えるもの~自分、欲、今~に囚われているのみだ。

 この盲目が極まり、心の歯止めがもろくも崩れ、彼らは凶行に至った。結果、彼らは人生を歩んでいく上でとてつもなく重い荷物~償いきれない「罪」~を背負ってゆく。この道程で彼らはより一層「苦」に苛まれつづけてゆくだろう。たとえ、表面上は強がっていても…この苦しみの時間は永遠かと思うほどに長く感じられることは想像に難くない。

 この二人の殺人犯の心が凍ったのは、もちろん当事者達だけのせいではない。様々な要素が入り混じって、この結果があるのだが、彼らの凍った心は人間の弱い側面を全面的に引き出した。

 



 一方で、人間は強い生き物でもあると確信させてくれた出来事を目の当たりにした。

 三日前ほどの朝のテレビでJR福知山線脱線事故の最後に救助された青年の特集を放映していた。
(JR福知山線脱線事故
(ジェイアールふくちやませんだっせんじこ)は、2005年4月25日に兵庫県尼崎市で起こった列車脱線事故。西日本旅客鉄道(JR西日本)が運営する福知山線の、塚口駅 – 尼崎駅間で発生し、これにより乗客106名と運転士1名が死亡、555名が負傷した。)

 彼はこの事故で両足が壊死した。ご両親は彼の命を助けるため、切断する事をを決断する。つまり、彼は両足を失った。
 彼曰く、この時は「どん底だった」そうだ。それもそうであろう。
 私ならば、あなたならば両足を突然失い生きていけるだろうか?

 しかし彼はあきらめなかった。義足によるリハビリに励み、大学を友達と一緒に卒業したいという目標に向かって、一生懸命に生きた。そして、この三月にめでたく大学を卒業した。四月からは東京で就職するという。

 …彼は、毎年事故現場にお参りに行く。彼は言う。
 「自分は生かされた命だからこそ、その人達の分までとは大それたことはいえないですけど、本当に自分自身が納得のいくような道を歩めたらいいなというふうに思ってます」

 「生かされた命」

 これを見失わなかったがゆえに彼は困難を乗り越えてきたし、これからもこの感謝を忘れない限り乗り越えてゆくだろう。

 彼の心は感謝で満ち溢れている。ゆえにぽかぽかとして温かいのだ。

 このように心が感謝で満ちている時、人は強い。

 そう要は…

 今、自分が生かされていること、この原点を見失わないことだ。





 こう考えて、すぐに考えを巡らしたのは、子供達の心を灯すには、ということであった?
 上記二つの事件の犯人もまだ若い青年である。
 知識を得る事は大切だ。生きる術を与えてくれる。しかし…

 知識そのものが心を温かくするのではない。
 子供達自らが、心を洗い、温かく保てる術は別に教えてやらなければならないのではないだろうか。
 人と人との触れ合い~親と子、先生と生徒、友~によってのみこれは成される。
 
 さて、今年も4月8日、心にあたたかな燈明を灯すはなまつりがやってくる。合掌

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