第三十四回「時代が変わる中で、いかに工夫して生き抜くか〜二〇二三年統国寺の標語」
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます。
2023年最初の法話も、住職が掲げられた今年の標語について書きたいと思います。
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今年(2023年)は令和5年、仏紀2567年、檀紀4356年、そして癸卯年(みずのとのうどし)です。
天干の癸は谷川の水、畑の水を表します。いわば万物を育む真水。
また水は智慧を司ります。
地支である卯は陰の木を表し、ここには見えない根、地を這うツルなども含まれます。
また木は、成長を司ります。
そして、この天と地の気が合わさって生じる性質(納音)は、金箔金です。
金箔は金の中でも加工され薄く広く伸びますね。原材料が加工され製品に変わる点を踏まえると、質が変わるという意味合いがあります。また薄く、広く伸びてきらきら光る金という点から、全てを覆う、そしてはっきりと姿を表すという卦を読み取れます。
いわば、今年は時代の質的な変化が眩いばかりにはっきりと現れ、世界を覆うということです。
次に厄が来やすい干支と方角ですが、今年の三災は子年、辰年、申年、悪い方向は北と西となります。ちなみに今年は閏月(閏二月:3/22-4/19)もありますね。
さて、このような癸卯年、すなわち2023年の標語は、こちらです。
「時代は変わる!されど、悟りという事はいかなる場合でも平気で生きる事であった」
上記標語の「悟り」以降は、正岡子規の言葉です。大きな変化で先の見えない時こそ、この標語が必要となると思います。
まず、大きな変化で言うと、コロナですね。
2021年1月までを見ると、日本では感染者300万人、死者1.9万人、世界では感染者9000万人、死者192万人を記録しました。しかし現在(2022年12月29日付)、日本では感染者2895万人、死者5.6万人、世界では感染者6.5億人、死者668万人まで数が増えております。より具体的には、約2年の間に日本で感染者数が2500万人以上、死者数が3.7万人以上増え、世界で感染者数が5.6億人以上、死者数が476万人以上増えたわけです。
コロナに関する報道が減る中で、変化が加速していることがわかります。
そして世界的な変化で言えば、2022年2月に生じたウクライナ戦争と、継続する中国の台頭と米中対立。これらはソ連崩壊後、米国が覇権を謳歌した一極構造の世界が終わり、大国同士が対立する新冷戦の世界へと変化したことを示す事象でしょう。
日本も大きく変わりました。今年(2022年)、戦後日本政治の権力者層の象徴とも言える安倍前首相が暗殺されましたね。また安保三文書の改定で、77年間変わらなかった日本の防衛方針(平和憲法に基づき専守防衛のみ許される)が、敵基地攻撃能力構築を含むより攻撃的なものへと、ついに今年変更されました。
経済を見ると、インフレーションも起こっていますね。この大きな時代の流れでいくと、来年統国寺も少なからず変化があるのでしょう。
要はこのような大きな変化の中で、いかに「平気で生きるか」。
そのためには、まず変化の性質について、しっかりと知りましょう。
その性質とは…「変化は突然やってくる」ということ。死も含め、変化は突然訪れます。これを正しく認識すれば、「今をしっかり生きる」大切さが自ずと感じられると思います。
この上で、変化の中を平気に生きるコツは、日々心の使い方を工夫をすることです。この工夫にもいくつかあるのですが、今回の「統国寺の法話」では、二つだけ記します。
工夫①:捨てれば捨てるほど、得るものが多い
〜自然の変化(厄)に当たるのはしょうがない。そのようなどうしようもないことや本当に必要ではないものは潔く捨てましょう。そうすれば本当に必要なものが残ります。
工夫②:自分の心の支えとなる何かを持とう
〜大きな変化に遭った場合に備え、自分の心の火を灯せる何かをあらかじめ決めておきましょう。そうして、どんな場合でもそれを信じてぐっと堪えるのです。
両手を失っても、しっかりと生きられた大石順教さんは仰いました。
「体の不自由、これはね、そういう因縁なのだから仕方がないが、私たちは心の障害者になってはいけないのだよ。」
自然の変化(厄)に対し、人ができることは心のパニックを回避し、被害を最小限に抑えるだけのように思えます。
このために、大石さんのように何か自分を支えてくれる信じられるものを心の中に持っていただければと思います。
では皆さん、大きな変化が予想される2023年を生き抜き、また大晦日に会いましょう。
合掌
統国寺(古寺名:百済古念佛寺)
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