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第三十三回「少欲知足、足るを知れ~二〇二二年統国寺の標語」

新年である2022年最初の法話も、住職が毎年出される標語から始めたいと思います。

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コロナが続く中、新しい年が明けました。

今年は仏紀2566年、檀起4355年、西紀2022年、令和4年ですが、干支でいうと壬寅年(みずのえのとらどし)にあたります。

いわば、黒い寅の年ですね。そして、壬寅年の納音は、金箔金。

今年から三災が変わり、子、辰、申年の方々が三災となります。

また今年から悪い方角も大きく変わり、基本的には北(子)の方角がよくありません。

 

壬は陽水、表に顕れる冷静な大きな智慧。

寅は陽木、これまた表に顕れる成長、発展。

これらを合わせると、壬寅年は「社会的、世界的に冷静な大きな智慧が発展し、はっきりと見えてくる」と解けます。

加えて、納音である金箔金の象意は「清涼できれいな物がすべてを覆い固めること」。

上記の干支と納音を総合的に勘案すると、すなわち、「コロナで変わった社会、世界が、大きな智慧によって一つの方向に流れ出し、一つの大事な結論を出していく」、となります。

 

では、このような中でどう生きるか。

まず、金箔金は仏の色です。この色に世界が染まれば、戦争はなくなるでしょうが、ここでは、いかに仏の色で自らを染めるか、が大事です。

 

仏は「平常心是道」と教えました。

先達たちも同じように説かれていますね。

 

例えば良寛さんは「災難に逢う時節には災難に逢うがよく候。死ぬる時節には死ぬがよく候。これ災難をのがるる妙法にして候」、という言葉を残されました。

 

つまり、どうする事もできない諸行無常を分かり、心のパニックを起こさないようにしましょう、ということです。

例えば、人の命を奪う地震や、これに起因する津波は、マグマが存在するがゆえに起こる。しかし、マグマがなければ地球は冷え切ってしまい、またきれいな水のある地球とはならない。すなわち、マグマがなければ人間は生きることができない。

このような諸行無常の真理をあるがままに見て、理解することが大切ですね。その上で、諸行無常である世界を、自分なりに工夫しながら今をしっかり生きようとする心、これが仏教の説く平常心です。

 

次に心のパニックを起こさない、という点についてですが、かつて瑩山紹瑾(けいざんじょうきん)禅師は、本師徹通義介(てっつうぎかい)禅師の「平常心とは何か?」という問いに、「茶を逢うては茶を喫し、飯に逢うては飯を喫す」と答えられたといいます。

いわば、過去はない、未来はわからない、今をしっかり生きること。

これは、地震が、台風が、津波が来て、愛する人が亡くなってしまった時も平然と生きろというのではありません。気の済むまで泣けばいい。ただパニックにならず、そこからまた自分なりに工夫をしながら、「今」をしっかり生きて積み重ねていく。これを一心に行わんとする心が、平常心といえましょう。

 

この平常心で、今年をしっかり生き抜くために統国寺が掲げた今年の標語は、

「苦しい時代が来ます。こんな時こそ少欲知足、足るを知れ」、です。

 

ホセ・ムヒカという元ウルグアイ大統領は、世界一貧しい大統領と呼ばれました。この人は次のように言いました。

「貧乏とは少ししかもっていないことではなく、限りなく多くを必要としもっともっと欲しがることである」

彼は心の満足を知らない人が、一番貧乏だといったのです。

また、「世界を襲っているのは実は、欲深さの妖怪なのです」とも指摘しました。要するに、今私たちを襲っている危機は、地球環境の危機だけではなく、私たちの生き方の危機だと言っているのです。

 

みなさん、私は欲を捨てれば、捨てるほど得るものが多い、と思います。

今、自分に問うてみましょう。物は豊かだが、私たちは幸せか?と。

 

奪い合えば足りないが、分け合えば足りる。

この心が、苦しい時期には最も必要ではないでしょうか。

足るを知り、2022年をお互いにしっかりと生き抜きましょう。

では、また来年お会いしましょうね。合掌

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