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第二十八回「良縁も悪縁も仏がくれた妙縁なり」~二〇一七年 統国寺の標語

 寒中見舞い申し上げます。

 今年もよろしくお願いいたします。

 さて今年も最初の法話は、毎年大晦日に住職がなさる法話を紹介したいと思います。

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 来年2017年は丁酉年(ひのとのとり)です。

 いわば、火の鳥。フェニックスですね。

 その性質を表す納音は今年(2016年)と変わらず、山下火(サンゲカ)です。

 山麓でくすぶっている火ですが、一度広がりはじめると止まらない。

 今年から始まった今後60~100年を決める変化が、来年には徐々に定まっていきます。要するに、2017年に火の行く方向が大体見える。例えるなら、北斗七星の使いである申が運んできた天の気を受けた火の鳥が飛び立つのです。

 忘れないうちに申し上げておくと、今年の悪い方角は南と東になります。基本的にその方向への引っ越しなどは控えた方がいいでしょう。

 

 さて、今年に引き続き起こる来年の変化の流れは、みなさんももう、うすうす感じとられていることでしょう。

 政治、経済、軍事、どれをとってもこれまでの流れとは違う。トランプさんが大統領選挙に勝ったことはこの代表的なものでしょう。

 このようなすごく先行きが不透明な時代を生き抜くには、やはり「心」の使い方が大切です。ということで、2017年の標語は…

 

「真空妙縁―良縁も悪縁も仏がくれた妙縁なり―」と、しました。

 

 まず、大石順教さんという方のお話をしたいと思います。

 覚えておられる方もおられると思いますが、この方は元々非常に才能のある踊りの名手でした。が、ある事件があって舞踊家の命である両手を切られてしまいます。

そこから送られた人生は非常に苦しいものでした。お金がなく両親を養うため自ら見世物として巡業に出る道を選ばれた時もあるほどです。

 しかし彼女は人生をあきらめなかった。真言宗のお坊さんになり、一生懸命に生きた。

 両手がないので、口で字を書く。あなたなら書けますか?

 そうして書かれた般若心経の写経を見た時には涙が出ました。

 その大石さんはこのようにおっしゃっています。

「この頃、力みでも、強がりでもなく、私は両手を無くしたこと、なにもしらない無学なものであったこと、そして、お金にたよらずに貧乏をして来たことが、ほんとうに私の眼に見えない大きな財産なのではないかと、しみじみとそのしあわせを味わっているのだよ。」

 

 次にご紹介したいのは、統国寺のある信者さんのお話です。

 その信者さんは無実の罪で獄中で約21年間過ごされました。

 そのお母さんが統国寺でずっと息子さんのために祈祷しておられましたが、その願いが仏さまに通じたのでしょう、なんと無実の罪が晴れたのです。

 戦後10例目の快挙だといいます。

 …犯していない罪のために、21年もの間牢獄の中で過ごす。皆さんなら耐えることができるでしょうか。私なら…無理だったかもしれません。

 その信者さんに先日勉強会の講師をしていただきました。

 そこで言われた言葉が非常に印象的でした。

 

 「事件の大きい小さいに関係なく冤罪で獄中に落ちると人生が破壊されますし、精神的に大きなダメージを受けて時には人格が崩壊して挫折をしたりします。

…ですからこのような冤罪の苦労など絶対にしない方が良いのですけれども、その冤罪の苦労が人間を大きく成長させうることも事実です。

僕自身は、この冤罪で人間的に大きく成長できたので、有意義なものになったと思っています。」

 

 大石さんもそうですが、この方も悪縁に見舞われ、どうしようもなく辛い苦しみを味あわれました。しかし、その悪縁はつらいけれども、結果的に自分に良縁をもたらしてくれたという結論が共通しています。

 悪縁の中に良縁の種があり、良縁の中に悪縁の種がある。

 悪縁と良縁は1つなのです。

 このことへの気づきが、両手を無くしたことに感謝する大石さんや、21年もの冤罪を有意義だったと言い切る信者さんの心の強さの源のように思います。

 

 …大きな変化の渦の中で、予想もしなかった悪縁に遭うかもしれません。

 その時はこの法話を思い出してください。

 悪縁の中に良縁の種があります。

 そして、耐えればいずれ光は必ず差します。

 

 では、また来年の大晦日に会いましょう。合掌

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