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第二十一回「賢者は歴史に学ぶ」~二〇一〇年 統国寺の標語

 あけましておめでとうございます。
 今年も例年通り、新年最初の法話は統国寺の標語について書きたいと思う。



 住職があの冷え込んだ大晦日の日におっしゃられたのはまず…

 庚寅年と今年の納音について。

 以下は要略である。



 一昨年と昨年は土の年かつ霹靂火でした。

 土は変化を育む。土の中で種が根を張り、やがて幹となる。
 そして霹靂火は青天の霹靂というように晴れ渡った空に突然起こる雷、つまり急激な変化を表す。
 実際に去る二年間に世界の様相は根本的にがらりと変化した。米国のサブプライムローン問題から端を発した国際金融・経済危機はいまだその根の深さが見えない。そしてパワーゲームの場はG8からG20に拡大された。
 翻って、日本では民主党が政権交代を成しました。

 では、今年はどうでしょうか。
 今年は庚寅というように、金の年、この金には二つの意味がある。
 一つには金と金がぶつかり、がちゃがちゃなる。
 つまり争いの気が感じられる。

 次に金は熱すると形を自由自在に変える。が、それを型にはめ、ひやしておくとその型のままに固まる。
 要するに変化が徐々に定まっていく年であります。

 では、どのように定まっていくか。
 それを松柏木と解く。
 年中青い松や柏のように何の揺らぎもなく伸びてゆく。環境がどんなに変わろうとも、です。

 …この二年で世界の変化の方向が定まり、今後百年の土台となるものが出来上がる。

 では、このような年に私たちはどのように生きればいいのでしょうか?



 では、今年の標語です。

 …「賢者は歴史に学ぶ」です。

 こういった時代だからこそ、歴史に学んでほしい。歴史は…

 本の中の理論ではなく、先人たちが実践したことの結果です。
 
 そしてこの歴史に学ぶという事は時に生死を分ける。

 例えばこのようなお話があります。

 2004年に起きたスマトラ沖地震では30万人の尊い命が失われました。

 このスマトラ沖地震の震源地からわずか60キロしか離れていないところにシムル島があります。しかしこの島ではスマトラ沖地震の犠牲者はたった6人に過ぎませんでした。この倍の約140キロ離れたところの島では200人強が津波によって死亡したにもかかわらずです。

 なぜか。それは…

 この島の人たちにしっかりと古い言い伝えが伝わっていたからです。

 「海が引いたら、高い丘に行け」、これが先に地震を経験したこの島の先人たちが言い残した歴史的教訓でした。

 この歴史的教訓を、この島の人たちはしっかりと受け継いでいたがために多くの人の命が助かったのです。



 次の歴史に学ぶものは…「長い不況の先にあるもの」についてです。

 実は日本は1990年代のバブル崩壊後、長い不況にある。1985年のプラザ合意によって、決定的となった円高によって、だぶついた資金が日本国内の土地投機へと向かい、バブル景気を形成したが、1990年代に入ってすぐ、外国資本が一斉に資金を引きます。これが大きな一因となって、この狂乱の宴は終わりを告げました。しかし問題は、この処理に国が介入するもてこずるわけです。いや税金投入による救済措置は、ただの延命措置だったともいえる。この結果、山一證券や長銀などの破綻が1998年ごろに本格化していくわけです。そして実はこの1998年から、自殺者の数が3万人を越えるのです。そしてこれは以来12年間連続で続いている。
 これは人口比からすれば、1920年代の昭和不況時の自殺者の数と同じといえる。
 
 そしてこの1920年代に何が起こったか。
 まず生活に苦しい人々の精神状態が不安定になる。
 つまりイライラが募っていくわけです。
 その様はまるで、急激に膨らんでゆく風船のよう。少しでも針で突けば、すぐに破裂する。
 これに加え、1923年に起こったのが、関東大震災。
 これに乗じ、あるデマが広まった。

 「朝鮮人が井戸に毒を入れている。」(当時はまだ朝鮮は日本の植民地であり、北朝鮮も韓国は成立していませんでした。)

 これは後になって、明らかなデマと判明します。が、結果何人の朝鮮人が虐殺されたか?



 …6000人です。

 われわれが今、学べなければならないのは、この歴史的事実からです。

 募りに募ったフラストレーションの矛先は弱い立場の人々、マイノリティーに向きやすいのです。
 
 これは500年や300年前に起こったことではありません。まだ100年も経たない歴史的事実であることを忘れてはなりません。
 そして最近、この懸念が現実になりそうな予兆が次々と見受けられます。


 今一人一人が歴史からしっかりと学び、未来を開くための準備をする時期なのです。
 準備がおろそかになれば、また歴史は繰り返される。



 そしてこの一人一人の未来へ向かっての努力が集えば…

 時代を創る力となる。

 20世紀にはアジアにとって特に暗闇の時代でした。

 21世紀にこの暗黒の時代を繰り返してはなりません。

 この世紀をアジアの世紀とするために、歴史を鑑み、まずは学びましょう。


 (以上で要略おわり。)


 アジアがよくなれば、世界もよくなり、世界が安定すれば、それがまた一人一人の生活に還元される。 
 最後に、今年が皆様にとって、よい年であられる事を心よりご祈念申し上げます。合掌

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